第15章 バンバンジー
ー治sideー
【治くん、届いた。いつもありがとう】
6月になった。
研磨くんは相変わらず、自分のペースで動画配信をしとる。
なんていうの?どんどん新しいのあげてかな人気なくなってまう、
みたいなそういう次元にはおらんらしい。
もともと知り合いの俺らからしたらその余裕はすげーかっこええ。
ほんでそれは普通に視聴者も思っとるらしい。
そういうこと呟いとる人ちょこちょこ見かける。
ほんで俺はこの間の休みん時に、
試作とかも兼ねて多めに作り置きして、
家の分とツムの分とそれから研磨くんの分と分けた。
んで、昨日送ったった。
今日はケンさんとことちゃう、もう一個の店で通しで入るから、
ランチ前の仕込みの時間に合わせて家出る支度しとったらさっきの研磨くんからのLINEが来た。
いつも必要最低限なことしか送ってこんけど、
冷たく感じんのはなんなんやろな。
【ぉん、はぎんで食べてな!いそがしそうやけど身体大事にせーよ】
返事を手短に送る。
変な関係やろ?
なんで俺ら知り合ったんかいうたら、
そんなん、俺が研磨くんの彼女好きになったからで。
まずその始まりでこの2人がLINE交換して、こんなやり取りするんおかしいやんな。
ほとぼり冷めて、俺は別の人好きになっとって、とかならまだわかるやんな。
俺まだ普通にめっちゃ好きやからな、穂波ちゃんのこと。
いやマジでちょっと思ってんもん。
この間やばい会いたなったなって考えたんが最後、
もう近いうちに、いうかそう遠くないうちに会いにいく気やし。
やってな、あれやで?
穂波ちゃんと研磨くんが遠距離しとるこの数年間を逃したら
もうほぼほぼ100%、穂波ちゃんの家には研磨くんもおんねんで?
この間それに気付いて、あかんやん、いかなあかんやん、って思った。
そんくらい好きなん、研磨くんもわかっとって、それなのに今があんねん。
意味わからんけど、全然自然なんが、
研磨くんで穂波ちゃんなんやけどな。
こうも彼氏の方とも仲良くしとるとマジで、
3人でいけるんちゃうって思うんやけどな。