第15章 バンバンジー
「……わかった、もうわかったから虎落ち着いて」
「言ったな、研磨!言ったな… 俺はもう2人の結婚式が楽しみで仕方ねーんだよ」
「え、なんでこんなことになってるの。酒飲んでないんだよね?意味わかんない」
「…お前、水面下で色々動いてんだろ」
ぼそっと、山本なりに研磨だけに聞こえる声で言ったんだろうけども。
俺には聞こえちまってる。
「…もーなんのこと、意味わかんない。
けど虎の言う通りだよ、自分のタイミングで先にってのはある。
でもそんなことしたら穂波 のことまで調べる人とかいるかなって思ったけど…
今のところ写真がネットに晒されたり、特定されたりとかないからほんと……」
「………」
「おれの知らない人にもだけど」
「…いやそこはファンて言ったれ」
「…音駒のみんなとか烏野とかみんなにも、んと …ありがと、って思ってる。
だっておれが音駒生だってことも元バレー部だってことも、まだ情報出てないのってなんか」
「すげーと思うよ、俺も思ってた」
「思ってました!」
「右に同じく」
「いや、俺らが情報流すってことはな…
いや正直リエーフあたりが口滑らせんじゃねーかなとは思ってたけどよ。
でも実際してねーし… なんであれそれは俺らだけであって、他校のやつらとかいくらでもいんじゃん。
でも誰一人だぜ? それってすげーなって、思うわ」
「夜久さんそんなこと思ってたんすか!
俺、まだ研磨さんが先輩だとか誰にも言ってないっすよ!
猛虎さんにすげー言われたんで!」
「バカ!リエーフそれは研磨の前で言うなっつっただろ!」
「あ、すいません!でもいいじゃないっすか、もう猛虎さんの思いは研磨さんに伝わってますし!」
…協調する気すらなかった研磨がなぁ。
こんな風に仲間に恵まれて、関わりをもって、卒業後も関係を続けているなんてな。
あの頃の俺は考えてもみなかったワ…
やっぱいちいち感慨深いわ、なんなんすかね、これは。
別にフツーか?
フツーなのか?
いやこれは別に普通とは俺は思いたくねーな。
なんとなく、特別なものとして、捉えていてーわ。