第15章 バンバンジー
顔出しして、それと同時に彼女の存在も明言して。
勘違いするやつらを牽制した。
でもそれは場合によっては効果がなくて、
単純に性癖にささったやつらには妄想の餌になる。
加えて、穂波ちゃんの身バレ顔バレも起こりうる。
いやでもそれは…
「遅かれ早かれってそっちの意味もあんだろ。
研磨の顔も、穂波ちゃんの存在も顔も、遅かれ早かれ何かの形でこの世界に出回る。
それを自分主導で、やったってことだろ。勝手に晒されるのなんか癪だもんな」
「…どうした山本、今日冴えてんな」
「…酒飲んだ?」
「飲んでねーっす… 俺はただっ……」
「…え、」
山本が、泣き出した。笑
「研磨と穂波ちゃんを高校3年間近くで見てきてなっ…」
「…え、ちょっと虎、こなくていい。そこ座ってていいから」
「研磨のやる気のなさも、根性なしなとこも、くそ腹たつとこも…
頭が切れるとこも、仲間想いなとこも、穂波ちゃんへの底なしの愛もっ…」
「犬岡どかなくていい、座ったままでいて」
山本は泣きながら喋りながらジリジリと研磨の方に近づいて来てて、
研磨の隣に座ってた犬岡が気を利かせて席を移動しようとしたのを研磨が必死に止めてる 笑
「穂波ちゃんの研磨に向ける笑顔も、研磨への底なしの愛も、
研磨を研磨のままでいさせながらも男にしていくその女っぷりも…」
「…ちょ、クロ」
「2人がどんだけ想い合ってて、見てるだけで幸せになってくる2人だってこと…」
「…ねぇ、だれか 虎、近いってば …!」
研磨の両肩をガシッと山本が掴む。
「全部俺知ってるからな!俺だけじゃねー、音駒バレー部全員知ってるからな!
忘れんなよ、研磨、ふざけんじゃねーぞ!
籍だけ入れて結婚式はしねーとかゼッテー許さねーからな!!!」
…いや絶対酒入ってんだろ。
間違えて飲んだか?
最終的にキレてるし 笑
しかもなんの脈絡もねーこと言い出して。