第15章 バンバンジー
ー黒尾sideー
「で、研磨さんはいつ来るんですか!」
4月から短大に通い始めた犬岡。
保育士になりたいんだと。
すげーいいよな、こんな先生が保育園にいたら。って普通に思ったり。
「…黒尾なんか聞いてねーの?」
「聞いてねーなー…って、あ、ちょうど着信」
「…あ、クロ?おれだけど……」
「…迷子?」
「ん、迷った」
「今どの辺?動かず待っててくれりゃ迎え行くけども」
「…んーと、、、ラブホがいっぱいあるとこ」
「………」
「…クロ?」
「…いや何でもねぇ、誰か迎えのご指名ありますか?」
そんなとこ男2人で歩いてるの週刊誌にでも撮られたら…とか想像しちまった。
研磨は何も変わんねーのに俺が変わってちゃダメだろ、と冷静に心の中で自分を諭す。
「…は? …あぁ、誰と噂になりたいかってこと?」
「…研磨すまん、そんなつもりじゃ…俺が行くわ」
「…リエーフかな」
「…! 何でリエーフなんだよ!」
「…ちょっと、電話越しに大きい声出さないでよ」
「わりぃ… ちょっとイラッとしちまっ …は?」
「…ふ」
「…ふ? …はぁ?」
俺はなににイラッとしたんだ?
それから研磨は何でこのタイミングで笑った?
「なに怒ってるの、意味わかんない」
じゃねーの、ここは。
「…うそうそ、リエーフが来たらめんどくさい。まっすぐ来てくれなそうだし」
「………」
「クロがいいな、クロ来てよ」
「………」
「え、なんの間。 …あ、すみません、いやそういうのダイジョーブなんで」
「おい研磨今の何の会話?」
「…もー早く来てよ 動いちゃダメなんでしょ」
「…すぐ行く」
なにに安堵して何に焦ってんのかわかんねーけど、
夜久たちには迎え行ってくる、だけ言って店を飛び出る。