第15章 バンバンジー
ー治sideー
「…いやハッシュタグ 笑」
ケンさんの店で今日もバイト。
ケンさんがコヅケン好きやって知ってる
いつもカウンターで一人呑みする常連さんがTwitter見してくれた。
「でもほんますごいっすよね、あんだけ話題かっさらって、
彼女の写真一枚もでてけーへんの。同級生とかがしゃしゃってもおかしないのに」
「そんだけコヅケンが怖いんかな?」
「…確かに研磨くんは怖いけども、そういうんとちゃう気がしますけどね」
「あれ、コヅケンとどういう知り合いだったっけ?」
「恋敵っす」
「ぅわー、若いねぇ…」
「ぅわーて、隠せてないですやん 笑」
「あはは、すまんすまん」
「でもええですよ、研磨くんに認定されんの」
「…認定?」
「要注意人物やって認定されるん、悪くないっす」
「あぁー…」
「いやいやいやさっきから、引いてますやん!笑」
…ほんでもちゃんとメシ食うてんのかいな、俺の恋敵は。
新米の季節に惣菜送ってから何もしてない。
そろそろなんか作って送ったろかな。
「治くん、ありがと。そろそろこっち戻ってきてくれる?」
新規のオーダー重なったでホールに出とったけど、
ケンさんにキッチンに呼ばれた。
あかんあかん、今考え事してる場合とちゃう。
「治くん、治くん」
「はい」
さっきの常連さんに手招きされてカウンター越しに覗くと
【いや私もすっごい覚えあって、この人の投稿みて確信して探してきた!
これ、2013年。2011年のも持ってる。同じ女の子】
「なんなのコヅケンって。ファッション誌のスナップとか載ってんだね、2回も。
ゲーマーでオタクかと思いきや、イケメンのリア充どころじゃないじゃねーか。
治くん、日本酒同じのちょうだい」
…いやほんまそれやて、ストリートスナップに彼女と載るのとか羨ましいんやけど。
…ゆーて、仕事仕事。
やることちゃんと、やらな。