第15章 バンバンジー
「…んで、なにすんの。会社作って」
「とりあえずYouTubeも会社でしてる体にして。
編集とかしてくれる人ちゃんと雇う。編集きらい」
「あぁ、カズくんのお父さんに教わって自分で全部やってんだったよな」
「うん。あれはだめだ、おれがやることじゃない。時間が溶けてく」
「…いやおもしろいこと追求はどこにいったのよ」
「…クロはなんでバレーボール協会に入りたいんだったっけ」
…絶対覚えてるくせに、わざわざ聞いてくるこの感じ。
「…おれもおれのやり方で、って思っただけ。
別におれはバレーだけじゃないけど」
「………」
「…スポンサーとかね」
……アキくんやカズくんや周平みたいな、
スポンサーありきの世界にいる3人の話を、その様子を、
どこか食い入るように聞いたり見ていたりしていた研磨を思い出す。
なるほど、ね。
でも研磨が おもしろい と思うほどのやつってそんな簡単にいるものか?
「…そういえばチビちゃんは高校卒業できたんだろ?」
「…笑 できたみたいだよ。なにその質問」
「いや、夏の合宿遅れて登場してたよな、と思って」
「あぁ、あったね」
「…で、卒業できて何してんの?」
「…修行だって」
「…?」
「修行するんだって、今その準備期間」
「………」
「…来年ブラジル行くらしいよ、ビーチで修行しに」
「…ブラジル …ビーチ …ビーチバレー!?」
「…ん」
…やっぱ研磨、ワクワクした顔すんなぁ、チビちゃんの話ししてるとき。
「…で、調べたんだけど、ブラジルのビーチのシーンってさ……」
こうして淡々と説明をする研磨を見てると、
バレー一緒にやってた頃を思い出すな。
「…スポンサーはペアにじゃなく、個人につく。 か。 つまりお前は…」
「…そ。 翔陽のスポンサーになって動向を常に見させてもらう」
「…え、目的そっち? 結局鳥籠に入れちゃうわけ?」
「…? 鳥籠? なんの話ししてるの」
「…スポンサーになってなんだって?」
「いや、翔陽はおもしろいから… 少しでもみてられたらいいなと思って。
おれにできることは資金提供くらいかな、とか」