第15章 バンバンジー
「…近所っつっても周りに家なくね?」
「…わりと近いとこ。ゴミ捨て場とか同じ」
「…ふーん。でもなんでまた」
「知らない、仕事じゃないの」
「いやそうじゃなくて、なんでまた… あ、穂波ちゃんが仲良くなって的なあれか」
「…? あぁ、どうやって知り合ったかってこと?
いや、越してきたの今年の春」
「………」
「なんか、おれのこと知ってて、そこの子供がさ、ゲーム好きみたいで」
「あぁ、ゲーマーの方の研磨を?」
「なに、ゲーマーの方のおれって。 …まぁでもそんな感じ。
それで昨日のライブ配信家族でみて、おれじゃんってなって、
今日棒棒鶏食べるんでしょって、朝から作って持ってきてくれた」
「…そりゃまた、良いご近所付き合いしてらっしゃること。
コヅケンの動画も好きで見てくれてたってことね、研磨とはつゆ知らず」
「そ。 この大根の漬物ももらったやつ。 おれはスープしか作ってない」
「スープうまいじゃん」
「ん、夜久くんの棒棒鶏もめっちゃうまい。すき」
「………なぁ研磨」
「…なに」
「中国語習おうと思って、とか言い出さねーよな?」
「え、なにいきなり」
「いやなんか、開けていく具合がすげーなと思って」
「…よくわかんないけど。
でも、うん、習いはしないけど、軽く教わろうとは思ってる。
中国語できて損はないだろうし」
「…いやどこで使うのよ。動画?ゲーム?」
「んー、別にそういうわけじゃないけど」
「…けど?」
「起業する。 おもしろいことを追求できるように。
お金も株以外にも有意義に使いたいし。
まだなんか説得力ないでしょ、ゲームとYouTubeと株じゃあ。
だからまぁ、中国語も軽く装備できてたらいいなって思って」
「…は?」
「まぁいいよ、食べよ。クロ、ごはんレンジに入ったままだよ」
説得力ってなによ。
つーか大学2年の春に起業ってなによ。
なにすんのよ。
と思いつつ、ご飯をとりに一度席を立つ。