第3章 くじら
ー研磨sideー
みんなが自分たちのせいで笑い転げてるのに、
もう切り替わっちゃって、普通にご飯食べ始めて。
どう見ても、阿部さんの作ったポテトサラダおいしい…って表情になってる穂波が
可愛くておかしくて吹き出してしまった。
そのあともしばらくおれらのいる席はがやがやしてて。
リエーフとか、翔陽とか、夕くんとか。
そういう要員は一人もいないのにうるさいおれらの席に、
しかもなんで笑ってるのか全然わかんないだろうこともあって、
周りが ??? ってなってる空気だけはわかった。
っていうか理由の張本人の穂波と赤葦がキョトンとしてるのがまたウケるんだよな…
「ふっ…」
だめだめ、ちょっともう、オレンジ食べてしまってここ離れよう…
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午後の練習の合間、烏野があと30分くらいで出るって頃。
「お疲れサマンサ〜!」
………。
クロが来た。
「やだ、なにそれ。そんな挨拶しながらおれのとこにまっすぐ来ないで」
「え?良くない?俺みたいなイメケンでイケボの男が言うからこその、良さみたいな。
結構くると思うんだけどな〜」
「こない、絶対こない」
「きます〜」
「こない」
「くる」
「こない」
「……くる」
「ぅおおおおおおお!!!黒尾さんじゃないっすかぁ!!!」
「ぅわぁぁぁ!マジだ!」
虎とか犬岡とか…まぁ音駒の2、3年がぶわーって集まってくる。
「お疲れサ…」
「…クロ」
「…お疲れ〜!!」
「「「お疲れさまですっ!!!」」」
卒業したら、引退したら、偉くなるんだろうか。
クロはいつも通りなのに、なんかみんながクロを慕う感が前より増してる。
クロの前に並んで整列してるし。
…ヨクワカンナイ。
「おーお前らはまぁゆっくり時間あっから、ちょっとツッキー達んとこ行ってくるな!
はいこれ、差し入れ〜〜他校にも配れよ〜〜烏野には俺から渡しとく」
ビニール袋をほいほいほい、と虎達に預けてクロは烏野のとこにいった。
烏野のとこには、穂波もいる。谷地さんと話してる。