第15章 バンバンジー
「…店閉めちゃう?」
「…は? …あ、や、すんません」
「やーでも、他のとこ開いてなくてうち来る人いるかもだもんなー」
ここの店は24時半閉店。
美味いメシが食える、酒も飲める、ええ店。
やから普通に遅い時間に仕事終わる人たちが、
酒は飲まんと23時ごろに飯食いに来たりする。
「…あれやったらええんやないすか?」
「あれ?」
「ワールドカップとかあるやないすか、観戦中的な」
「あぁ。 え、コヅケンライブ配信鑑賞中って?笑 外に看板出しちゃう?笑」
「…それで呼ぶんやなくて、そんでもええ人は入ってな、じゃないけど」
ツムは俺に黙っとけ言われたからか、
イヤホンつけてなんかみとるでアホみたいに静かや。
ライブ配信をみるのはええけど、っていう前置きがあるんやから
ライブ配信で騒ぐなよ、いう意味やったんやけどまぁええ。
「それもそうだね、通常通り営業しながら観ちゃおっか。
治くんプロジェクターの場所わかる?」
「あぁ、はい。そっちやってもええっすか」
「どうぞどうぞ。そうと決まれば配信始まるまでにできる限りのことしておかなきゃ」
ケンさんも俺も、ライブみるんは普通に無理やと思ってたから
アーカイブ残ったのみるつもりやった。
「あ、でもお客さん、静かに携帯でみたかったらあれっすけど」
「俺は別にいいけど、ミカちゃんはどう?」
「スクリーンでみるのとか楽しそう!いいよね、優?」
「コメントとか入れたかったら携帯でいれれるし、おもしろそうっすよね。
ほんじゃ、ちょっと俺ここ離れます。
その前になんか追加オーダーあります? 遠慮なくいうてくださいね」
ハイボールと烏龍茶、それからフライドポテトの追加を受けて
物置までプロジェクターを取りに行く。