第14章 蜂蜜
正直やることはいっぱいある。
でもまだ、翔陽のスポンサーにつくって決めてるわけじゃない。
翔陽に与えられた一年の準備期間。
おれのひとつの準備期間にもなるし、
それからその間の翔陽の様子をみて、話を持ちかけるかは決めようと思う。
翔陽がおもしろいままだったら、
そのおもしろさを維持させる、向上させることにつながることなら手伝いたい。
おれが提案するだけじゃなくて、
翔陽がその状況をどう利用するかを聞きたいし、見たい。
……もし、一年後、おもしろそうって思ったらだけど。
まぁいい、スポンサーだもん。
契約さえ全うすれば、つまんなくなったらやめればいい。
それだけのこと。
とりあえず、日本に帰ったら動画撮るための色々と。
あとは起業するための準備を。
起業は遅かれ早かれしようと思ってた。
いろいろな面で都合がいいし、おもしろいことも一層やりやすい。
……それにゲームと株に加えてYouTube、の三つだけじゃなんか。
なんか説得力に欠けるじゃん。
そんなことない、結果出してるからってクロは言うけど。
なんか……穂波とか家族を養いたいって思うと、
おれの中でひとつ、必要な項目で。
だからなんか、タイミングってやってくるもんだよな、ってしみじみ思ったりした。
とにかく今日はたっぷりと穂波を、満喫しよっと。
パソコンから一旦離れてダイニングに行けば、
スープのいい匂いがする。
バターの香りも。
テーブルの上にある瓶の中の蜂蜜が窓からの光で琥珀みたいに輝いてる。
キッチンでは手際よく、かつ機嫌良く穂波が食事の用意をしてて。
こういう、毎日が、毎日送れたらなっておもう。
スープの匂いも、蜂蜜もなくてもいいけど、
そこに幸せな穂波がいてくれないと、何一つ意味ないから。
だからやっぱりおれは…
また明日から始まる離れている時間も、
できることやって、なんていうか一つずつ、クリアしていきたいな、とか