第14章 蜂蜜
ー研磨sideー
明日、日本に帰る。
今日は家とその周りで完結する感じで、過ごそうと思ってる。
今おれは朝ごはんの前に株のチェックをしてて。
穂波は多分台所にいる。
前に翔陽とビデオ通話したとき、一気にイメージが広がった。
それで少し調べたり練ったりしたあとで、穂波に報告した。
大きなお金を動かしていくし、生活リズムとか何かしら変わってくると思う。
……なるべく、今くらいのペースで、余裕ありながらやりたいと思ってるけど。
それに何より、株もそうだけど、起業も、失敗したら穂波との今後の予定…
いや予定とかないけどでもあるじゃん、おれはそれなりにあるから…
なんかそういうの、正直ひとりよがりなんだろうけど、
でも一応、穂波にも多かれ少なかれ影響があることだから、なんていうか。
報告っていうか、伝えておこうとか思った。
──「万が一があっても、絶対取り戻すから。ちゃんと穂波のこと幸せにするから」
おれの先走りすぎな妄想みたいな発言に穂波はきょとん、とした顔をして動きを止めた。
『……うん、わかった。 ありがとう。
わたしは、研磨くんがやりたいことをやっていくのを一番そばで見れる、その時点でもう、幸せ。
…だから全部嬉しい、ありがとう』
少しの沈黙のあと、穂波はおれのことをしっかり見つめてそう言った。
お金の問題じゃない、成功とか失敗とかそういう次元でもない、
穂波はそんなことで幸せを図らない、わかってる。
それでもおれがそんなことを言ったって穂波もちゃんとわかってて、
ただ、おれの言ったことを受け止めてくれた って感じがした。
「…ん、ありがと」
だからおれも礼を言って、それからもう少し詳しい話をした。
穂波が上手に相槌をうってくるから、自然とそんな感じになっていった。