第14章 蜂蜜
ー研磨sideー
生で、ナカに出したいっていう欲求は、
すごい動物的なことなんだと思う。
桁違いに気持ちいい、それはそうなんだけど、そういうことじゃなくて。
単純にすきなひとにマーキングしたいんだ。
おれの中からできたものを、体内に放出したい。
においをつけたい。
人間にはわかんないけど、動物にならわかるんだろう、
あ、このメスからはあのオスの匂いがする。
だから近づくのやめよう。
とか。
くそ、上書きしてやる。
とか。
一切の強姦的なこと、合意のないそういうことを容認できないけど、
穂波っていう存在がいる今となっては嫌悪感しかないけど、
でも、同時にどこか腑に落ちてしまう感覚であることは否めない。
ほんと、変なの。
だから、赤ちゃんのこと、命を軽んじてるわけじゃない。
だけどどうしても、特に今、久々に穂波に触れるここ最近は、
身体を重ねるたびにずっとどこかで思ってる自分がいる。
…なまでしたい、ナカに出したい、漏れちゃってもいい、破れてもいい。
本気で思ってるの?って聞かれたら、それは、うん。って答える。
でもそれで、実行するの?って聞かれたら、それは、絶対、ない。なんだ。
どっちも穂波のことがすごい好きだから生じる考えみたいな、衝動みたいなもので。
そのどちらもが当たり前にごく自然に自分の中に存在してることが、不思議で。
でもやっぱ、不思議なようで当たり前のこと、みたいな。 …感じ。
「……研磨ー」
「……んー?」
「入ってもいいー?」
「……え、だめ」
「今の んー? が可愛すぎて誘われてんのかと思った。 昼メシ食い行かね?
夕飯の買い出しも兼ねて」
「…わかった、30分後でいい?」
「あーい」
アキくんがドアの向こうから話しかけてくる。
穂波はとっくに大学に行っちゃって、
おれは昨晩の満足感からの脱力がすごくてだらだらしてた。
アキくんは明日大会に向けて出発する。
今日は穂波の誕生日祝いも兼ねて(昨日だったけどおれに譲ってくれた)
夕飯はBBQするかってことになってる。