第14章 蜂蜜
ー穂波sideー
夢のような、夜だった。
あれから車に乗り込むと、またキスをして。
そのまま流れてしまいたくなる衝動を2人、抑えて家まで帰って。
そして、じっくりと時間をかけて身体を重ねた。
美味しく、身体にいい、質の高い旬のものを取り込んで、
若いわたしたちの身体はもう、エネルギーに溢れてた。(ということにしておこう)
達した後、研磨くんが崩れるようにわたしに体重を預けてくれて。
それがなんだろう…初めてのことだったのだけど、たまらなく幸せだった。
甘える、ともちょっと違って、
ただわたしの上で休んでる、みたいな、
それが既に甘えてるってことのなのかもしれないけど、
その甘えはもう、たまらなく嬉しいんだけど、
でも何かもっと、委ねられて、そしてわたしを感じてくれてる心地になって。
そして研磨くんは言った。
──「……心臓の音ってこうやって聞くと安心する。 ……なんか思い出せそう」
ぼそっとそう呟くと、上体をむくりと起こし、甘い口づけをくれた。
それからあれほどたっぷりと、長くねっとりと、交わった直後にも関わらず、
「……もっかい、シよ? 後ろから、したい。
穂波何もしなくていいから。 …ただおれで気持ちよくなってて」
真っ直ぐに目を見つめながら、そう言われては、
そこにわたしの意志なんて存在しないも同然のように。
研磨くんの願いがそのままわたしの意志となる。
……そんなわけでその後もまたたっぷりとわたしは愛された。
次の日の大学のことがよぎらなかったと言っては嘘になる。
でもそれすらも高みへと誘うスパイスのように、感じた。