第2章 ふたり
高木先生は数学の先生で、
1年の頃から何かとわたしと研磨くんをいじるというか。
何でもないときはいじらないけど、
わたしが遅刻した時とか、
2人で昼休みに眠りこけちゃって、
掃除の時間も眠りこけた末に5限に遅れた時とか。
そういう時にいろいろとこう、ちょっかいを出してくる先生。
それからわたしたちのことを見守ってくれてる先生。
淡々と、飄々と。
『烏野のみんなはどうだった? 元気だった?』
「…あぁ、うん。 元気すぎて疲れる」
『…笑』
「話の流れで、月島がおれと穂波の仲について一言で表すことになって」
『…ん?』
「翔陽が熟年カップルみたいっていうから、なんかそれは嫌だって言ったら……」
『…熟年カップル 笑』
「夕くんとか龍之介とかあの辺がよくわかんないこと言い出して…」
『…あの辺』
…リエーフくんと山本くんかな、音駒からは。
この場合のあの辺には、犬岡くんは入ってない気がする。
「おれもう何もいう気起きなかったんだけど、
月島がちょっと口出したら、じゃあ、お前が言えよみたいな流れになって」
『おお、蛍くんの表情がありありと思い浮かぶ…』
「…ふ 笑 …それで月島が、おれらが来年から遠距離?になるのに不安がないのは、
2人が2人だからじゃないか って言ってた」
『………』
蛍くんは、いつもそうだ。
いたずらな顔をしてからかってきたり、
すっごい優しい目をして見つめてきたり…
それでいていつも、こうやって。
わたしと研磨くんのことを… 見守ってくれてる。
胸がきゅうとなった。
『…ん』
「…ん。 言わなくてもいいかもだけど、なんか言っとこうと思った」
『…ん。 嬉しくて、あったかくて』
なんだか泣けてくるな…