第3章 くじら
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7月21日(日)
合宿2日目。
朝4時。
体内時計で目が覚める。
昨日の夜は泣いたし、狼狽したし、どきどきしたし、
きゅんとしたし、それからほわほわした。
感情のオンパレードな夜だった。
京治くんとわかれたあと、
研磨くんはマネの部屋に上がる階段の踊り場で、
わたしにまた、いっぱいキスをくれた。
溺れるほどに深くて、優しいキスをたくさん。
校門でのことがなんだか時間をおいてまた迫ってきて、
もうここで欲しい!って身体が疼いて仕方がなかった。
研磨くんのも、準備できてる感じだった。
でもでも、なんとか我慢して切り上げて各々布団に帰ったんだ。
そんなことをぽけらっと思いながら。
今回の献立は、〇〇の素的なのは変わらず前回と使わないけど、
でもなんだろうな、来年も使えそうな、というか。
仕込む量とその場で仕上げる量のバランスとか、作業内容とか、
そういうのを去年よりもっと考えてつくった。
…去年はまぁ、わたしがのんびりやればいいやって感じだったけど
今年はそうもいかないし。とかとか。そんな感じ。
だから朝もみんなで集合せず、とりあえずわたしとのんちゃんである程度進めて、
30分後に他のマネちゃんたちが来るようにしてみた。
とはいえのんちゃんとの集合時間?までもまだ時間があるから。
ぼんやりとした気持ちの良い早朝の時間、
つい空を見上げてしまいがちで読むかはわからない本と
それから水筒を手に赴くままに歩いてみる。
やっぱりなぜか、ここでの朝は玄関に来てしまうみたい。
たどり着いて、腰を落ち着けたのは玄関の階段で。
やっぱりぼーっと空を眺めた。
一応本は開いたんだけど、開いたまま、朝の空を。
それから、だんだんと重なり増えていく人々の生活する音を。
そして鳥の囀りを味わった。
しばらくぼーっとしていると
3羽のスズメが、少し向こうに降り立った。
だれか昨日あの辺に何かこぼしたのかな。
スズメは何かを啄んでる。
3羽の、小さな鳥。