第13章 空
「電話終わった?」
カズくんの声がして、
それからアイスの乗った器が机に置かれる音がコトン、って。
『あ、うん。 アイス待っててくれたの?』
「……待ってたわけじゃないけど。
別に、渡して研磨と話しながら食べる穂波見るのも良いんだけど、……んーと」
研磨くんと違って言いにくい言葉、とかない、
割合なんでもストレートに言ってくるカズくんが珍しく口篭ってて、萌える。
これも成長というやつなのかな。
「…prep終わった?」
『半分くらい。読めたけど、自分の考えとか気になるとことか、まとめれてない。
ディスカッションもあるから、整理しとかないと』
「…ん」
『カズくん、どうかした?』
「……別にどうも。 …ただ今日夜風が気持ちいいからちょっと穂波と風浴びたいなって思っただけ」
『………』
「とりあえずアイス食べよ」
それもそうだね、ってアイスをつつく。
ミルクと、葡萄のシャーベット。
ワンスクープずつ盛り付けてくれてる。
洋食より和食。
クリームよりフルーツ。
そういうカズくんの好みは、すごく合っていて。
アイスでもなんでも、一緒に選んでいてなんの遠慮もない、というか。
一緒に暮らすことにしてよかったぁって早くも思ってる。
『ねぇ、やっぱミルクって、シャーベットにも合うねぇ』
「ね、バニラじゃなくてミルク」
『うんうん』
「…ここのやつ美味しいね、また買お」
『ね、いろいろ試してみようね』
なんて言いながら、
わたしは線を引いたところをしっかり噛み砕いて、
自分の中に落とし込んでいく。
カズくんはわたしの向かいに座って、多分、携帯でゲームして。
途中トイレに立つ時についでにお皿は持っていって洗っておいて。
またテーブルにもどって予習を進めて。
あーだいぶ、進んだなー。って伸びをしたところでぱちっとカズくんと目が合った。