第13章 空
ー月島sideー
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「…そう、私は東京の大学。 いずれは広告デザインとかできたらな〜 なんて」
孤爪さんのあとささっと僕らも順番に風呂をいただいて、
いまみんな揃ってババ抜きをしている。
ババ抜きをしながら、話は進路のことになった。
『大学はどこ志望だっけ?』
「武蔵美を第一希望に…」
『わぁ、いいとこだよねぇ、そしたら住むのもあっちの方になるの?』
「そうですね、もし通えることになったら、あの辺り…」
『近いねぇ、研磨くん?』
「…どこだっけ、小平?」
『鷹の台じゃなかった? 小川沿いに歩けてさ、すごくいいとこ』
「そっか、電車で20分もかからないね」
「そ、そうなんですね…! なんだかより一層ビジョンが明確になってきました…!
学業だけでなくプライベートの想像ができたのは初めてです…!」
…確かに。
バスや電車でふらっと行けるようなとこにいてくれたら、想像は広がる。
穂波さんが東京にいるなら、僕も東京の大学を視野に入れただろうな。
「山口くんは、東北大だよね?」
「そ、そう!他にも色々受けるけど… 東北大に行けたらいいな。ね、ツッキー?」
「あぁ、うん、そうだね」
『同じ大学行けたらルームシェアとかするの?』
「ル、ルームシェアかっけー!」
「ルームシェア!? いやそんなことは俺は全然…!」
「…それもありかもね。 いい物件があるなら」
「えっ ツッキーほんとに言ってる!?」
「山口が僕のこと気にせず女の子連れ込みたいとかあったらまぁ無理か…」
「えっ つっ 連れ込むとかそんなこと考えてないよっ」
「…ぷっ 知ってる」
「月島くんは?」
「…僕は、ないかな。 連れ込むとしたら、まぁ、ね?」
穂波さんの方に目配せをすると、
あからさまにどきっとした表情をして目を泳がせる。
…親元離れた僕の家に、遊びにきてくれたらどんなにいいか。
でもまぁそれは、よっぽど、ない話だ。大学のうちは。