第13章 空
ー研磨sideー
風呂から上がって居間へいくと、
穂波は夏ちゃんと台所できゃっきゃ話してた。
それから夏ちゃんはおれの方にだだだっと水筒を持ってきた。
「…ん、ありがと、夏ちゃん」
「………どういたしまして!」
穂波はカラス?のちいさなぬいぐるみを2つ持ってこっちに来た。
ほわほわした顔をしてるのは、風呂上りなのもあるだろう、
夏ちゃんに絆されてるのもあるだろうけど多分、
おれが翔陽の妹のことを夏ちゃんと呼んだことに、対してだと思う。
さっき言ってた。
『研磨くんのちゃん付け、初めて聞いた。
ちょっとヤキモチ… でも、だいぶ興奮してる』
って。
「…カラス?」
『そうなの見て見て!』
おれに見やすいように手のひらに一つずつ乗せるようにして見せてきた。
オレンジ色の髪?毛?の生えたカラスと
黒い髪?毛?の生えた目つきの悪いカラス。
「…ふ、」
『ね、なんだか似てるよね』
「それね、あと梟とねあとね……」
『うん?』
「…猫も、あるの、おんなじシリーズのやつ!」
『へぇ、すごい、猫もあるんだ。鳥だけじゃないんだね』
「見たい?」
『うん、見たい見たい。 持ってきてくれるの?』
「うん!」
そう言って夏ちゃんはだだだーっと走って行った。
猫もあるって言うとき、おれのことをチラチラ見てたのはなんなんだろ。
『…猫と梟とカラスだなんて、なんだかワクワクしちゃう』
「…ふ 確かに」
それからバグを起こしてるみたいな翔陽と影山のいる方へ、2人で戻った。