第13章 空
ー穂波sideー
なっちゃんと一緒に入るお風呂は楽しかった。
久しぶりに小さな女の子と入ったなぁって。
なっちゃんは背伸びした感じのない、真っ直ぐにかわいい子。
翔陽くんに似たとこもいっぱいありつつ、更に肝を据わらせた感じ。
なっちゃんは今日仁花ちゃんとわたしと一緒に布団を並べて寝てくれる。
だから髪を乾かし終えると、いつもお母さん達と寝ている部屋にぬいぐるみを取りに行くと言って走っていった。
寝る時間に関してはこんな日くらいいいよ、って言ってたけど、
あんまり遅くなるようだったら先に一緒にお布団に入ろう。
寝る部屋… 荷物を置かせてもらってる部屋に一度戻って、みんなのいるリビングへ向かう。
「あ、穂波ちゃん…!」
右腕に2つのぬいぐるみを抱えたなっちゃんがもうそこにはいて。
そしてすこししゅんとしてる。
どうしたのかな?
『うん、なっちゃん』
「あのね、お母さんにね、叱られちゃった」
『うん? もうちょっと聞かせてくれる?』
「穂波ちゃんのおっぱいのこととかおしりのことはね、人の前で話しちゃいけないんだって」
『………そっか、そうだね。
わたしのこともだけど、もしかしたらお母さんも話されると悲しいと思ったのかもね』
「……ごめんなさい」
『ううん、いいよ』
「でもね、お兄ちゃんとトビオくんがね、おかしくなっちゃったの、お母さんが言ってた通り」
『へ?』
話した相手って言うのは、お母さんじゃなくてここにいるみんなってこと?
確かに目をやると蛍くん以外様子がおかしい。
…ま、いっか。 どうすることもできない。
『そのうち戻ってくるよ。
ねぇなっちゃん、お水いただきたいのだけどいいかな?』
「うん!夏がいれる!」
『わぁ、ありがとう。じゃあね、この水筒に…』
さっきみんなで食器を洗ったときに水筒も洗わせてもらった。
研磨くんのとわたしのと2つ。
なっちゃんは はーい! と言って水筒を受け取った。
…トトロのメイちゃんを少し思い出すような、そんな無邪気さと快活さのある子。
かわいいなぁ。