第13章 空
「あのね!お兄ちゃん!」
冷蔵庫から牛乳を取り出してグラスに注ぎ一気に飲み干すと、
日向に向かって一直線に駆け寄ってくる。
そして、
「あのねあのね、穂波ちゃんのおっぱい、お母さんのよりずっと大きかった!」
とんでもないことを男子校生4人と女子高生1人のいる中、
高らかに無邪気に、言い放った。
日向の膝にダイブして座るようにして、肩をぽんぽんとたたきながら。
「「「………」」」
日向の妹だ、日向がどう対応するのかを一応見てから、
といった感じで僕ら3人はとりあえずの沈黙を。
影山はといえば一気にショートでも起こしたのか、
穂波さんのおっぱい… とかぶつぶつと言っていた。
それにしても天真爛漫すぎるだろ、小2の女子にしては。
もっとませてきたりするんじゃないのか。
「…なっ夏 夏ななななんて言った今!?」
いやいや今それもう一回言わせる?
ほんと、馬鹿……
「あのね、穂波ちゃんのおっぱい柔らかかったよ。
あとね、水着で隠れてるとこはね、肌の色が違ったよ。
夏と一緒で日焼けのあとなんだって!
でもね、お尻はね、隠れてないみたいだった。
夏の水着はお尻も隠れてるでしょ? でも穂波ちゃんのはね…、」
…これはもう、なんと言っていいのやら。
山口も赤面しちゃって、止めに入る言葉も出なそう。
谷地さんまで目をぐるぐるさせてしまってる。
確かに生々しすぎる、レビューだ。
『なっちゃーん、髪の毛乾かそう?
今なら研磨くんお風呂に入ってるからね、大丈夫だよって』
「はーーーい!」
だだだだーっと穂波さんの方へと走っていく。
突風みたいな子だな…
日向より恥じらいとかがなくて一層、爆弾感がすごい。