第13章 空
ー月島sideー
「そ、それもそうだな!でも夏、おれと普通に風呂入ってるぞ?」
…だから、君は妹が赤ちゃんのころからこの家にいる兄貴で、
今日初めて会った兄貴の友達とは全然違うでしょ。
なんでそこ、わかんないんだか。
「…まぁ、いいじゃん。孤爪さん、穂波ちゃんの後入ってくださいね」
山口が話をそこで終わりにして、
孤爪さんは立ち上がったついでに、と言った感じで着替えとかを取りに行った。
僕らがきたことによって、ある種アウェーな感じの場になっていると思う。
僕らだって日向の家に来たのは初めてだけど、それでも烏野メンバーというか。
でも孤爪さんは普通にゲームしてそこにいる。
穂波さんとは全然違うけど、でも、TPOを最低限わきまえがならも、
らしさ、みたいなものが消えない感じや、
ごりごりに個性を全面に出してくるわけじゃないのに、
隠しきれないように漂ってるその感じが一緒だなと思った。
「…変な人」
「えっ、月島今おれに言ったのか?」
「………」
「…か、影山くんは英語と現国持ってきたんだよね?」
「ぉう」
「それは今後のテストのため?それとももっと先を見据えてるわけ?」
「あ?」
「何を聞きたいのかとか、ちゃんとあるわけ?」
夏休みでテスト前でもない今、
受験も控えてない影山は何をしようと思って教科書を持ってきたのか単純に気になった。
「…そ、それは」
「………」
「なんつーか」
「………」
「いしそ…」
「ま、いいや、聞いたところで」
「おいこら月島てめー聞いてきておいて…!」
「おにいちゃーーーん!」
年中〜年長見える日向の妹は小2だそうだ。
日向と同じように小柄で陽気で、ぴょこぴょこと動きまわる。
加えて日向に甘える感じが相まって、年齢よりずいぶん幼く見えた。