第13章 空
ー研磨sideー
「翔陽、次おれ入ってもいい?」
「おーいいけど。みんなも良いよな!? あ、でも研磨、今穂波ちゃん入ってるって言ってたぞ?」
居間で過ごしてたんだけど、
穂波は谷地さんが風呂に入るタイミングで寝る部屋に一緒に行った。
それから今、風呂から上がった谷地さんが居間に戻ってきて、
じゃあおれも入ろっかな、とか思って立ち上がった。
「…あー、うん?」
「あ、風呂セット取ってくんの?」
「うん?まぁそうだけど?」
「あっ、孤爪さん、あの、もしかして一緒に… その穂波ちゃんと、お風呂に…?」
「…あ、そっか。 大丈夫、そういうことしないし、いつも入ってるから特になんか、心配?とかは」
「えっ!? 研磨と穂波ちゃん一緒に風呂入ってんの!? えっ、えっ……///」
「いやいやいやそそそそそんな心配とかはしておりませぬぅっ!」
真っ赤になってのぼせたみたいな翔陽はうるさくて、スルー。
同じくらい赤くなってる谷地さんは変な口調になってた。
「………」
「いえ、夏ちゃんが一緒に入ると言っていたので、その、それをお伝えしておくべきかと…」
「あ、そっか。 じゃあやめとく、ありがと谷地さん」
「い、いえ、めっそうもございません!」
「………」
めっそうもございません、なんて言うタイミングだったのかな今。
ありがとうとは言ったけど、そんな重いやつじゃない。
「…ほぇ? なんで? なんで穂波ちゃんとは入って夏とは入んねーの?」
「……」
「…正気を取り戻したかと思えば、やっぱり意味わかんない発言するね、日向って」
「日向、それじゃまるで孤爪さんが夏ちゃんを女性として見てるみたいな比較の仕方だよ」
「えっ、違う違う逆逆!」
「……おれがどうとかじゃなくて、聞いてないのに入っていくとか普通にしないから」
「そ、そうだよな… え、穂波ちゃんには聞いてたの?」
「穂波には、脱衣所から聞けるじゃん。 …ていうか別にそれ掘り下げるとこじゃない」