第13章 空
ー研磨sideー
10月1日(木)
大学の、あまり人が通らない場所。
おれ的に見つけたな、ってとこに座ってゲームをしてたら携帯に通知が入った。
見てみるとカズマから写真。
向こうは夕方っていうか夜っていうか。
こっちが10時半だから6時半か。
写真に写ってたのは、
陽は傾いてきてるけどまだまだ陽が沈むって感じじゃない空。
海に入る前。
髪が濡れてない。
着丈の短い白のTシャツに、デニムのショートパンツ、黒いスニーカーで
カズマのデッキを両手で持ち上げてる穂波。
着丈短い服で両腕上げてるからくびれもしっかり見えてる。
こっち向いてるのと、そのままの姿勢で身体を捻って横向いてるやつ …かわいい。
花柄のビキニを着て、サーフボードを立てて海を見てる穂波。
少し眩しそうな表情で、でも綺麗だ。
それからやっぱりカズマの撮る写真はどこかエロい。
あと一枚送られてきたのは髪も濡れてるやつで。
肌に砂もついてたりして、まだ水を浴びる前のやつ。
空はもう、夕焼けに染まってる。
だから、これを送ってきたちょっと前とかそこいらかな。
髪が濡れる前の写真はどちらも、髪にあのシュシュを着けてる。
烏野に行ったときに月島からもらったやつ。
彼氏がいる人に身につけるものって、避けがちかもしれないけど、
ヘアアクセサリーか、しかも布でできたあの感じか、って流石月島だなって思った。
普通に穂波が好きそうだし、似合ってるし、着けてるのみるのに抵抗はない。
ただ、髪を解いたときに左手首にそれを着けるのを除いて。
でも、よっぽどの時以外穂波はそうしない。
…だからまぁ、抵抗はない。
──「え!影山達もうちくるんじゃねーの?」
翔陽の自転車をラングラーにくっつけて一緒に乗ってく?みたいなアイデアも出たけど、
運転席の後ろは車中泊仕様になってるし、それに翔陽は自転車で帰りたがった。
だからおれらはもう少し時間潰してから
翔陽の家の近くの車停めれそうなとこまで行って待ってる。
先にナビに住所入れておこうか、ってなって。
そのタイミングで他にいた烏野三年達が、
じゃあまたね、なんて穂波に言って、ハグとかし始める流れだった。