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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第13章 空


ー穂波sideー










「うん、ずっと」

『………』










窓に寄りかかって身体を少し乗り出していた体勢から、
また蛍くんの隣に立つような姿勢に戻した。

…ら、蛍くんが優しい目でわたしを見つめてる。

これは、フィルターなんかじゃない、優しい目。
この目で見つめられるたびドキッとする。
それから、それは確実にわたしの中に蓄積されてる。











蛍くんの手が頬を包む。
身体をかがめた蛍くんの顔が少しずつ近づいてくる。











   どさどさどさっ











って何かが落ちる音がして2人でばっと、廊下の方に目を見遣る。
すると烏野高校の制服を着た女の子がそこにいた。











「ちょ、月島!?」

「…そうだけど、何?」

「何じゃないから! ちょっと相談があるんだけど!!」

「…え、何その勢い」

「彼女さん!?」

「あぁ、うん」

『…!』

「ちょっと2人、美術室まできてくれない!?」

「いやこのあと予定あるから」

「そこをなんとか!」

『…蛍くんのお友達?』

「いやただのクラスメート。話したことない」











あまりの勢いに、その、相談っていうのはなんなんだろうって、
気迫に押されながらもぼんやりと考えていた。











『ねぇ、美術室の窓からの眺めはもっと綺麗って……』

「あぁ、うん。そうだけど今、美術部が使ってるし」

『…美術室に来てって言ってたよね?』

「…あ、あの人美術部か」

『ねぇ、行くだけ行ってみよ? 研磨くんからまだ連絡ないし』

「………」











それもそうだね、と蛍くんは溝口さん、というその女の子に話しかけた。











「…溝口さん、そんな長居はできないけど、それでもい…え?」

『…笑』











溝口さんは両手の親指と人差し指で四角を作って、
そこを覗き込んでいた。

あ… 最高、だとかそんな声をぶつぶつとこぼしながら。












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