第13章 空
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「…で、そのシュシュのやつと電話してたの?」
『うん、カズくんはどんな一日だった?』
ビーチ近くのスケボースポットでカズくんと落ち合って、
スケボーをサーフボードに持ち替えて海へ。
ビーチを歩きながらカズくんと今日の報告みたいな会話をしてる。
何もかもを話す必要はないけど、こういう時間はすきで大事にしたいなって思う。
カズくんは蛍くんに対して、怪訝さを隠さない。
2人でスノボ行ったやつ、実家に泊まるように誘ったやつ、
それから今は、シュシュのやつ、として。
カズくんがこのシュシュを初めて見た時、
どうしたの?誰から?なんて会話があった末こんなことを言った。
「そのシュシュは確かにかわいいし… なんか盲点って感じ」
『盲点?』
「ネックレスとかピアスとかブレスレットはもう、
研磨のマーキングみたいにずっとそこにあるし。
他に似合いそうなの見つけてもあげようとは思わない」
『………』
「ヘアアクセか、しかもヘアゴムじゃなくてシュシュ。
なんかカジュアルで重くなくてでも、身につけやすい。
なんなら時には研磨からのブレスレットを覆いかねない」
『………』
「してやられた感すごいんだけど」
…そんな、そんな感じじゃないと思うんだけどって思ったし言った。
でも、さっきの電話の感じを思い出すと、そんな感じもしなくもないなとか。
シュシュをもらったのは、研磨くんと宮城まで行った時。
大洗での治くんたちとのキャンプのあと、菖蒲田浜で白布くんと会う前。
烏野へ立ち寄った時。
──烏野高校に着いたのは15時ごろ。
お土産に追加で差し入れも持って、
掛け声、シューズが床を擦る音、ボールが跳ねる音をそっと、外から聞いていた。
その日に伺いたいということは武田先生にも伝えておいたので、
いつ入ってもいいよとのことだったのだけど、
やっぱりタイミングは見計らってしまう。
山口くんの、休憩ー!の掛け声のタイミングでにゅんっと研磨くんと2人、体育館に顔を出した。