第13章 空
ー穂波sideー
Artのクラスは週に6時間。
月、水、金曜の14時から2時間ずつ。
一年生の秋学期はあまり攻めずに、でもすこぉしだけ詰めた。
アートのクラスは息抜き、と言ってはいけないけど、
それでも息抜きのような時間だ。
スタジオで同じ授業をとってる友達と話してたら蛍くんから再度着信があった。
そしたら、クラスの後かけ直してだって。
1時間後?って聞かれた時はかけるね、って感じだった。
でも2時間後ってなったら、かけ直してって。
おかしくなりそうなんだって。
意味はわかるような、わからないような。
…かわいいな。
捻くれ者のようでいて、まっすぐな蛍くんのそういうところ、かわいいなって思う。
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サーフィンする子からクラスの後に海行く?って誘われて。
蛍くんと電話してた時に一緒にいた子がダメダメ、この後彼と電話するんだから〜って。
わたしはカズくんと海で落ち合う予定だったから最初から断るつもりだったんだけど、
彼ではないだとかなんとかそんな会話があった末、
片付けを終えて車へ向かいながら蛍くんに電話をかける。
「…もしもし」
『もしもし、蛍くん』
「…うん、講義お疲れさま」
『うん、蛍くんそういえば今日朝練は?』
すぐに、電話に出た。
「…うん、少し早く上がって、今着替え終わったとこ」
『昨日から待たせちゃってごめんね』
「全然。勝手に待っただけ」
『部活も勉強も毎日おつかれさま』
「うん。穂波さん、小包届いたよ。ありがとう」
『本、どうだった?』
「まだじっくりは見てないけど、すごくいい。
持ってない感じだし、字を追わなくてもイラストを見てるだけで楽しい」
そう思って、選んだ。
それにシールなんて使うことないかもしれないけれど、
かっこいい挿絵だし大きめのもあるから、
わかんないけどパソコンとかに貼ってても普通にかっこいいかなって。