第3章 くじら
・
・
・
『…んっ …はぁッ…ン……』
苦しいほどに深く甘いキス。
校門に押し付けられて、何度も何度もキスを交わす。
首筋に2回、チリリとした痛み。
その度に研磨くんは おれの と呟いた。
Tシャツの裾から研磨くんの手が入ってきて、
ブラの上からちょっと強めに… 触れる
とまんない… よ…
膝を曲げて、硬くなった研磨くんのそれに腿を擦り合わせれば
「…ふ ほんとにここでしちゃう?」
研磨くんの余裕のある声が耳元に。
やっぱりここではだめだ、っていうと思ってるかな。
だってこんなとこで見られたら、部活的に良くない。
校門の内側とはいえ、通行人とかに見られでもしたらほんとに…
『…する』
ちょっと鎌をかけてみれば
「…ん、いーよ。 …その代わりめちゃくちゃにするよ?」
想像以上に余裕で勝気な返事が返ってきて、
思考も動きも停止してしまう。
その様子をみてまた研磨くんは ふ と笑う。
どさっ
お風呂セットが地面に落ちた。
ビニールコーティングされた小さなトートバッグにいれた、
小さめのいろいろが転がっていく音がする。
『…あ……』
「…ん? いーよ、あとで拾えば…」
そう言って両手を持ち上げられ手首を掴んで門に押し付けられたまま、
また深いキスが落とされる
「…ん?」
『…?』
「…?」
わたし達ではない、声。それから足音。気配。
「なんだこれ、 …あ、風呂のセットか」
京治くんの声が横からする。
ふっと顔を声のする方へ動かすと、街頭と月明かりに照らされた京治くん。
お風呂上がりの、京治くん。首に、タオルをかけて。
わたしたちに気付くことなく
わたしが落として転がっていたお風呂セットの中身を拾い出してくれる。
声、かけなきゃ… 今がやめ時…
そう思ったとき、
顎をくいっとされまたも再び、研磨くんに唇をふさがれる。
この状況と顎くいっの強引さとは裏腹に
胸がきゅうとなるほどに、優しい優しいキス。