第12章 Hi!
ー穂波sideー
「…穂波、起きてる?」
背中の方からカズくんの声。
『…ん、起きてるよ。 おはよう、カズくん』
「おはよ。 研磨のこと思い出してた?」
『ん? うん、研磨くんとかみんなのこと』
「そっか。 いいね」
『ん、いいの。 カズくんはここにいるし』
「でしょ、おれがいるのはだいぶいいと思うよ」
適当だけど心はある会話をポツポツとしながら、布団を出て。
カーテンを開けて、顔を洗って、朝の支度をそれぞれしていく。
いよいよ、4年間みっちりではないとはいえ、
ここでの暮らしが始まるんだなぁって、こっちにきて約1週間。
ようやっと実感が湧いてきた。
今までも何度もきたことのある土地だから、鈍くなっていた感覚。
旅慣れしていることやカズくんという存在がいてくれることも加味してると思う。
昨日は一くんが来てくれたから、
カズくんとの二人での食事なら余っていただろうお惣菜がすっからかんで。
ささっとできるもので、カズくんのいつもの朝ごはんを。
焼き鮭、卵焼き、ケールの胡麻和え、
納豆、豆腐とわかめのお味噌汁、ごはん。梅干し。
「今日、ハジメと会うんだよね?」
『うん、カズくんは何時だっけ』
「9:30に迎えにくるって。夕方には戻ると思うけどわかんない」
『パート撮りだっけ?』
「ん、タンパプロでれるように、色々完成させる」
『……』
「…ふ」
『…えっ』
「え?」