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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第12章 Hi!


ー治sideー









「なんか… わかるんだけどでも一応聞いといても良い?」











バジルとライムのシャーベットと梅のジュレをよそったガラスの器を
キッチンから運びながらケンさんが口を開く。










「なんでそのままものにしなかったの?」

「………」

「いやみんないて、彼氏もいて、そんな中で最後までしちゃえそうとか、
あーでも、そのことならまだまだそんな機会はあるかもって思えるのかな?
普通ならそれって、逃しちゃいけないやつじゃんね」

「そーっすね、もはや普通がわからんけど、遠距離確定してなかったら行ってたと思います」

「…距離か」

「でも一瞬あん時も、いや別に行ってまってよかったんとちゃうかな、とはよぎりましたけど。
でもやっぱ、泣かせたないし、いや泣いてもええけど、なんかちゃう今やないって思った。
このタイミングで研磨くんと別れて、俺のこと好きになってくれたとしても、
いや向こうでいろんな出会いあるやん、って思ったら、
研磨くんと今のままでおるほうがむしろ脈ありなんちゃうかなって」

「…なるほど。 聞けば聞くほど謎だけど、もはやわかるーってなるこれは何」

「そらケンさん、穂波ちゃんと研磨くんの沼に片足突っ込んでますわ」











冷たいスプーンで、シャーベットを口に運ぶ。
さっぱりの極みみたいな、香り高い旬の味。
これ絶対、好きやろな。いつか作って食べさせたいわ。











「今、また考えてたでしょ」

「あ、はい。うまいもんのこと考えると、いっつも浮かびます」

「…それほぼいつもじゃん」

「……」

「でも万が一泣かせて終わったとしてもさ、店持って、そこに来てくれさえすればいつでも会えて。
来てくれさえすれば、美味しいもの振る舞えて。
別に恋だの愛だのは抜きにしてもさ、そこからまた始まる、そういうのは絶対食の持つ力だから。
人と人の間に、口にするものが一つあるだけでその距離は格段に近くなる、僕はそう思ってます」

「…ケンさん」

「何 笑」

「俺のこと抱いてもええですよ」

「いや何いきなりw あとごめん、断るw」












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