第12章 Hi!
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2時間くらいかな、ちょっと作業して風呂入ってクロが寝る部屋を覗いてみた。
灯りが漏れてたから、まだ起きてるんだなって。
「…ほんとに布団持ってきたんだ」
「…ほんとにお前、来たんだ」
「うん、別に。
普通の大学生の一人暮らしの家に泊まりにくるのとかって、こういう感じなんじゃないの」
「…まぁそうだな。 研磨俺ん家泊まってったことねーもんな」
「………」
「布団がある家も珍しいだろ、同じ布団で寝たり、
床とかソファでなんかかけてテキトーに寝たり、そんなもんよ」
「…へぇ」
「あ、俺ん家は1セットなら布団あるぜ?」
「うん、知ってる。前言ってたし」
「………」
「え?」
「…これから四年?
まるっきりってわけじゃねーけどさ、でも、まぁ四年。
そこにあった温度とかさ、人影とか?恋しくなる時あると思うんですよ」
「………」
「俺ん家にも泊まりに来い、たまには」
「………」
「まぁそれはなくとも、呼べ。メシ作ってでも、なんでも」
「………」
「そんなとこです」
「…その度に一緒に寝るの?」
「はっ!? いや、別にそういうわけじゃねーけど、
いや、家で会わなくてもメシ食いに行ったりとか?
またボール持って河川敷行ってもいいしよ」
「あぁ、うん。でも別におれ、大学行ってるし」
「………」
「人には会ってるし、それに、なんか」
「………」
「穂波がいなくても、そうだな…
そりゃ体温とか匂いとか、そもそも気配みたいなものは、感じれないけど、
でも、いないからこそ、じゃないけど、やることいっぱいある気がしてて。
寂しいとか思ってる暇はなさそうだな、っていうか」
「…寂しい、って感覚はわかるわけ?お前の中にあんの?」
クロがちょっと、目を見開いて口を挟む。
「…それ今必要?」
「うん、すげー必要。ガキの頃からずっとお前みてきた俺にだからこそ必要」
「…それはもう、クロが高校卒業したときからあるよ」
「………は!? お前いきなりなに言って…」
「え?クロが聞いてきたんじゃん。 なんでキレてるの」
聞いてきておいてキレるのとか、ほんとよくわかんない。