第12章 Hi!
ー研磨sideー
「お前も変わったよな」
「別に… 普通」
「付き合いたての頃、こっちが部室の鍵渡してやっても、
声聞かせたくない、みたいな感じだったくせにな」
「……なんの話」
「なんの話じゃねーわ。 男だけで雑魚寝してる部屋に漂うあの、空気お前も味わってみろ」
「………」
「絶対抜くなよ、抜くなら風呂にでも行け、っつってな」
「クロその話はもう聞いた。それからもう、聞きたくないし想像したくない」
「…はいはい。 別に普通って言ってるけどその辺の矛盾みたいなのは研磨の中で腑に落ちてんの?」
「うん、もう、それはそうだとしかいえないこといっぱいあるし。
モードがいくつかあると思えば別に、気にならなくなった」
「モード、ねぇ」
「うん」
「装備、アイテム、モード……」
「…じゃあおれ、部屋行ってくる。それ明日の仕込み?」
「研磨なら3日くらい持つんじゃねーかなって思ってるけど」
「…ん、ありがと。 風呂、お湯入れとこうか」
「…いやいいわ。先入っていいの?」
「うん、そんなの、入りたい人が入りたいタイミングで入ればいい。洗ってあるから」
「……何かわからないことあったらパソコンの部屋にいるから」
「仕事部屋ね」
「…パソコンの部屋」
「…布団は」
「空いてる部屋に置いてある」
「持っていけって言わねーんだ」
「別に、それくらいは。やっといた、時間あったし」
「……一緒に寝る?」
「寝ない」
「いや、同じ布団でとは言わねーけど、ガキの頃みたいに …っとか」
「………」
「………」
「その間が怖いからやだ。なんでそんなに言いにくそうにいうの」
「いやなんか、照れちまって」
「なんでどうして照れるの?」
「穂波ちゃんって存在が現れてから合宿で隣に布団敷く以外、研磨と寝てねーなって」
「………」
「…いやそんなの普通だよな、普通なんだけど、え、なにこれ、どういうシーン?」
「知らないよクロ、わけわかんない」
「はいはいすみませんね、俺はゲストルームでのびのび過ごさせてもらいます〜」
「………」
「…なんだよ、行かねーの?仕事部屋」
「もう1セット、布団運んでくれるならいいけど」
「は?え?どこからどこに?」