第12章 Hi!
・
・
・
裸のまま、2人、寝転がって。
会話はあまりせず、指を絡め、時折キスをしたりしてしばらく過ごした。
『…そうだ、研磨くん、お願いなんだった?』
「ん? あぁ、ううん、とりあえず、いいことにした」
『……そっか、違うのでもいいよ? …お願いされたい』
「………ほんとは今日台所かどこかでシたかった」
『へ?』
「まずは部屋でする感じだったでしょ、普通に。それで、もっかいしたいなって思ってた」
『なんで台所?』
「声、我慢させたかったし、ちょっと挑発したかったのもある」
『挑発?』
「……よくわかんないけど、とにかくおれのだって言いふらしたいし、確認したかった。 それだけ」
『………』
研磨くんの言った言葉を頭の中で数回反芻して、ようやっと輪郭が見えた。
身体が熱くなっていくのがわかった。
興奮してじゃない、恥ずかしいような、そんなやつ。
「…でもなんか、さっきの一回でもういい。それに声は、絶対……」
『研磨くん、言わないで…』
「…ふ 自分でもよくわかんない。 誰にも聞かせたくないし、想像もさせたくない。
でも、聞けばいい、おれのだから。想像? すれば良いよ、おれのだから。みたいな。
そんなモードに切り替わるときがある。 …なんか、そう、モードって考えればまぁ、いいのかな」
『………』
ごにょごにょと少し眠そうに、
でもゲームの設定みたいな感じで現実を捉えて納得しようとしてて。
そんな研磨くんがかわいくて愛おしくて、ただただ、見つめた。
そうしているうちに睡魔がどんどんと重く、瞼にのっかって。
うとうと、うとうととしてきた。
「…あ、じゃあ違うお願い、しようかな」
『…ん、明日でもいーい?』
「ん、明日。 おれが起きるまで、ここにいて」
『…うん、わかった』
「シャワーも浴びちゃだめだよ」
『…ん、研磨くんと朝、シャワー浴びる…… おやすみ研磨くん』
「…ん、おやすみ」
なんだか研磨くんはさっきより少し覚醒してるな、なんて頭のどこかで思いながら、
迫り来る睡魔に身を委ねた。 それはそれは、心地の良い、眠り。