第12章 Hi!
ー研磨sideー
じっくりと、じっくりと味わう。
わざと音を立てながら口を離すと、
穂波は身体を小さくビクッとさせた。
触れる感覚だけじゃない。
視覚はもちろんだし、嗅覚ももちろんだけど。
聴覚でも感じてほしい。
いやいつも感じてるけど。
心配なくらい感度がいい穂波だけど。
全部の感覚がこの時くらいおれでいっぱいになればいいと思う。
離れてる時、触覚、視覚、嗅覚は思い出すことしかできないけど、
聴覚なら、電話越しでも刺激できるし、とかも思わなかったりもない。
「いっぱい気持ち良くなるのは、おれもだけど、穂波もだよ」
『…っは ん、 研磨くん……』
「ん?」
『…すき』
「ん、おれも」
まだ始まったばかりなのに、目をとろとろに潤ませておれにすきと呟く。
脚の内側にキスしながら、指を這わせながら、
上へ、上へと登っていく。
膝も、膝の裏もちゃんと。
今日はハジメテだけど、おれの知ってる穂波の気持ちいいとこ全部、刺激したい。
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「……すごい、まだどくどくいってる」
『…だっ…て』
さっき胸の辺りにいた時も、すんごい心臓の音させてたけど。
もう流石にそれは落ち着いたかと思ってた。
身体がほぐれるのと同時に、落ち着くものかなって。
なんていうか、コーフンしてるそれじゃなくて、どきどきいってるそれだったから。
『…なんか、ずっと恥ずかしくて』
「………」
『やだもうそんな顔で見ないで……』
「………」
どんな顔?
よくわかんないけど、いちいち唆るなって思いながら話聞いてたら、
穂波は恥ずかしそうに顔をそむけて、右腕で目を覆った。