第12章 Hi!
ー侑sideー
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俺の思った通り、穂波ちゃんは手玉にとるを調べとって。
そんでそれは、もてあそぶように操るみたいな意味やった。
俺を弄んでくれとさっき言うてきた男に、
手玉に取れそうやと思ってた男に、
形勢逆転されるの、なかなかええスパイスになるんとちゃうやろか。
それは研磨くんとの日々のやり取りとか、
常日頃のエッチなやり取りでやっとるやろし。
サムともそういうん、あるんやと思う。
でも多分な、ちょっと違うと思うんやって。
やから俺はやっぱ、俺の持っとるもん全部利用したんねん。
関係性とかも含めて、な。
庭は結構がやがやし出して。
まだ炭は起こし始めてないものの、
椅子やら色々、スペース作りみたいなん始まっとって。
この縁側を行った向こうにあるお勝手からもがやがやと人の動く音がしとった。
サムや福永くんだけやのーて、何人かが動いてんねやろ。
そんで俺らは変わらず、縁側で過ごしとった。
特に変なこともせんと、辞書で遊んで過ごした。
わいわいきゃっきゃ言ってな、側から見たら仲の良い従兄弟とか、幼馴染みたいな感じやろな。
ちょっと距離は近いけどまぁ、みたいな感じとちゃう。
でな、俺はずーっと待っててん。
その、時がくるのを。
その一瞬を。
喧騒の中、こっちもわいわいと楽しく過ごすんは、いわばあれや。
前戯ともいえるし、引き立て役とも言える。
何のタイミングでかは知らん、
偶然が重なって、賑やかな庭に誰もおらんなった一瞬があった。
それを、逃すわけがあるか。
何も察知せんと辞書で遊んで、
辞書から俺に目線を移して俺を見上げる穂波ちゃんの顎をくいってして。
もっぺん、ねっとり甘いキスをくれてやった。