第12章 Hi!
ー治sideー
2つあるプフってクッションの他に寒色系の生地で織られたシートクッション?があって、
穂波ちゃんはそっちに座って。俺はプフに座っとる。
やからなんや。
ちょうどエロい感じの高低差ではある。
ほぼ地べたに座っとる感じの穂波ちゃんと、ソファに座っとる感じの高さの俺。
でもさっきの、俺とエッチなことしたいって思ってました、と等しい発言はなかったことみたいに、
また、無防備に無邪気にプフについて話しとる。
モロッコで親父さんが買うてきたやつ、
家にずっとあったの、もらったんやって。
『中にね、色々自分で入れるんだ。それでね、ここにさ、アルミトレーを置いて机にもできるんだよ』
「へぇ、ええな、ミントティーとか飲むん?」
『そうだろうねぇ〜、お砂糖たっぷり入れてさ。 行ってみたいなぁ〜』
「どんなとこなんやろな〜 毎日何食うてんねやろ。
タジンとかクスクスとか聞くけど、見るけど、ここで見るんと現地に行って見るんは全然ちゃうよな、絶対」
『…ね、ね』
「保存食やって日頃の食いもんだって、なんやって、やっぱ、あるやんなぁ。湿度とか一年通した気候とか。
どこで食っても美味いやろけど、あるんやないかなーって思うんやって」
『…うん、ね』
「………その穂波ちゃんが座っとるそれは?」
『これはね、お母さんが織ったの。裂き織りって知ってる?』
「ううん、知らん」
『うちの親は職業柄、服含め、生地がどうしても倉庫にあって。
必要としてくれてる場所に送ったりとかもして、きっと在庫は少ない方なんだけど…
とにかくその、残ってる服の生地を裂いてそれを、織って作ってくれた』
「へー、そのものとしては使うことのなくなった服を裂いておるんが裂き織りいうこと?」
『発祥はそうじゃないかな?着物とか浴衣とか』
「へー、ええな。なんか、理にかなってる、いう感じ。
そのシートクッションもかっこええな。藍染め?」
『ね、藍の色も混じってる。 ………』
説明は無邪気にするくせに俺が喋る度に一旦静かになるん、なんやねん。
相槌が、その間が、なんか… エロいんやってマジで。