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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第3章 くじら










『研磨くん、あのね』

「うん」

『さっきね、わたし京治くんとキス…しちゃった』

「うん」

『………』

「それで?」







優しい声。
静かな、声。








『…ごめんなさい』

「…ん。 それだけじゃ、いろいろ不確かで不透明で後からイライラしたりしそうだから」

『ん』

「ちょっと、聞いてもいい?」

『はい』

「…笑 どうしたの、穂波。おれが怖い?」

『え?ううん、その逆で… いつも通りな研磨くんに、なんだか…』

「………」

『研磨くん、ごめんなさい』

「え、なんでそんなに謝るの。 怖いんだけど…」






周平に腰を抱かれただけでイラッとしてた研磨くん。
サッカー部の先輩に親しくしてもらってただけでイラッとしてた研磨くん。
合宿で蛍くんとキスしてしまって…イライラしてた研磨くん。




…それ以降も何度か、あった。
蛍くんと、あと、治くんと。




その度にわたしに上書きするようにキスをして
その度におれの。って呟いた研磨くん。






彼女が他の男の人とキスしたって報告してきて
こんなに落ち着いた調子で優しく話しかけてくれるようにしてしまったのはこのわたしだ。

前は少しの苛立ちを、声に含んでいたのに。

今は、ただ静か。






ツトムくんが言ってた。愛想尽かされるかもって。
犬岡くんも言ってた。イライラがだんだんなくなって、どうでもよくなっていくんじゃないかなって。



こんな風に、きっと……



あれ、なんだかわたし、考え方がちょっと…








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