第12章 Hi!
ー穂波sideー
「穂波とウシワカってそんな面識あったっけ?」
『んとね、2回だけだったかな』
「白鳥沢戦のときと…?」
『あと、スノボ行く前に白布くんに会いに行ったとき。
面識があると言っていいのやらなくらいしか顔を合わせてないのだけど…』
覚さんとは違って、若利くんとはほとんどお喋りもしたことなくて。
挙句、若利くんはどストレートに何かを勘違いしてるようだったから、
面識がある、とはいえその言葉以上のものは1ミリもなく、
むしろその言葉以下なんじゃないかな、という程度しか会ったことがなかった。
でも、一度観たきりの烏野対白鳥沢の試合での若利くんの圧倒的な存在感に、
ただらなぬ気迫に、圧倒されたし、もうそのかっこよさといったらなくって、
こちらとしては記憶にしっかりと残ってる存在ではあって。
それに加えて、白布くんや烏野のみんな、
その他各地域にいるバレーをしていた、している友達から牛島さんの名前を聞くことはよくあったし、
なんだろうな、有名人じゃないけど、そんな感じ。
わたしはいろいろな情報を得ていて、知っている感じがする人で。
わたし自身に関しては顔覚えててくれたら嬉しい、くらいの。
自己紹介からまた始める感じの。
ほんとにその程度の面識だった。
──「Would you like to warm it up?」
(温めますか?)
「………」
「do you want it be hot?」
(あっためる?)
「ah, yes please」
(あ、お願いします)
「alright, 17.50」
(17ドル50セントね」
「…seventeen fifty」
寡黙な感じの大きな人が、レジに立ってた。
困ってる、って感じでもなくって、時間を要してるっていうか。
大きな身体のままの、落ち着いた様子で、でも… 頭の上には ? が浮かんでて。
英語が全くわからないわけじゃないけど、ローカルの早さにまだ耳が慣れないのかな。
それからレジの女性もまたそういうのに慣れてなくて。
こういう時、こういう場面、
声をかけるか、かけないか迷う。
この状況を楽しんでるかもしれない、自国では味わえないこの感じを。とか考えちゃって。
…でも、