第11章 ラングラー
ー治sideー
俺らはこのまま埼玉向かって、俺は角名のとこで一泊して明日兵庫に帰る。
穂波ちゃんらは北上してくらしい。
ばあちゃん家と烏野と、あと白鳥沢のやつとも用があるんやって。
「ほんま、研磨くんがラングラーに乗って車中泊の旅とか、わからんもんやな」
「でも、暑さとか虫とかから上手いこと距離とっててなんか安心する」
「安心するんだ」
「うん、なんであの2人は、あのまんまなんだろうっていうか。
全然違う感じの2人が、お互い無理することなく一緒にいることに妙に安心する」
「あー… まぁ確かに。 治は研磨くんと何話したん?」
「内緒や、内緒! でもなんか… ほんまにええやつやな、って思たわ、しみじみ。
かっこええだけでも、痺れるだけでもなくて、ええやつやなって。
ほんでもおっかないとこもあるけどな、でも、それも含めて、なんや… 友達なれた気する」
「俺も! 研磨くん、すげー好き! 穂波ちゃん不在の間も会えたら良いなーとか思うけど、
やっぱいかんせん、まだ穂波ちゃんによって取りもたれた縁って感じが強いな〜」
「ていうか、サーフィン普通にやってたよね」
「いやほんとそれ」
「それな! あんなんずるいわ! ほっそいのに程よく筋肉ついとるしな」
「あれ何筋? もう運動とかしてないでしょ、日常で」
「いやがっつりしてるやろ、ベッドの上で」
「…あー…… いやでも… あー……」
「こらこらこら!人のそんなとこまで想像しない!」
「でもさ、そしたら穂波がおらんくなったらどうなるん? 細くなってくんかな」
「っちゅーか、メシ食うんかな? 心配になってきた! なんか送ったろ!」
「いいな、俺も送って欲しい。 牛肉のしぐれとか、ぎょーざとか」
「でも、一個上の黒髪の人… 黒尾さんだっけ?甲斐甲斐しく連絡したり差し入れたりしてそうだけど」
「確かに。 …人に恵まれた、人見知りだよね、研磨くんって」
「まー、見えない苦労はしてきてるだろうけど…
でもそうだね、確かに、人に恵まれてる感じはありそ。 まー俺もだけど!」
「それを言ったら聖臣くんやろ〜」
そんな感じで結構話は尽きんと、移動の時間は過ぎてった。
渡米してまう前に会えてよかったし、絶対アメリカに会いに行ったろ。