第11章 ラングラー
ー研磨sideー
キャンプ場に戻ってきて、ちょっとまったりお茶とか飲んで。
それからぼちぼち片付けた。
車中泊のいいとこは、テントを片付ける必要がないことだな、とか。
当たり前だけど。
でもまぁ、普通にいろいろ片付けて。
料理に使うものと椅子とかだけ取っておいて、
穂波と治くんでまた昼ごはんを作ってくれた。
卵かけご飯。
昨日、“すごくいい卵” 買ったんだって、それで。
炊き立てのご飯と、美味しい醤油で。
豚と玉ねぎの炒め、山芋の酢の物、パプリカとツナの和物、
漬け物、わかめと豆腐の味噌汁。
おれと穂波以外の3人はおかわりして、
豚肉の炒めと煮卵で丼にしてた。
バレー部のみんな見ててもそうだったけど、
美味しそうに食べるし綺麗になくなるから、見てて気持ちいい。
「じゃあな!また、元気でな!」
「穂波ちゃんも研磨くんもまた会おうねー!」
「…ん」
『楽しい時間をありがとう。 …じゃあ、また会う日まで……!』
そう言って穂波は一人一人にしっかりめのハグをして、
そうなると流れなのかなんなのか、おれのとこにも……
「研磨くん、惚れ直したわ。
穂波ちゃんのことは諦めんけど、穂波ちゃん抜きでもまた会おな」
「…ん、え、」
治くんがハグしてきて…
こんなの穂波以外に翔陽とか周平とかアキくんくらいしかないから、ちょっと……
「治くん、やめて、離れて」
「おっふぉ…… 治やっぱ、すっげー嫌われてるんじゃない」
「いいな、治くん! 俺も!」
「古森くん来なくいていいから」
いつもこういうとき、穂波が毎度かわいくって、
それ見て、おれ的にはその場の主人公は穂波みたいな感じなのに。
なんか全然じっくり見れなかったんだけど。
穂波は角名くんと側でくすくす笑ってるし。
翔陽の時とは違って、ヤキモチ、妬かないみたい。