第11章 ラングラー
ー穂波sideー
「ライトは?」
『ここに置いてく。そしたらここだよってわかるでしょ』
「………」
『ダツって知ってる?』
「勃つ……?」
研磨くんに引かれるかな、ううん、研磨くんはきっと引かない。
いつも、わたしを暖かく見守ってくれてる。
想定外こそ、想定内と言わんばかりに。
裸で、夜の海に入るのが大好きだ。
そりゃプライベートビーチがあれば、朝だって昼だって裸でも入りたい。
夜の海、な理由はそこなだけ。
滝壺だって、湖だって。
裸で入るのは、あの布面積の少ないビキニを着ているのとすら全くの別物だ。
自然との、地球との繋がりの深さが半端なくって。
…そう、馬鹿になる。
さっと羽織れるように、それから寝巻きが潮水で濡れないように、
車でワンピースに着替えてきた。
研磨くんはズボンだけ海パンに履き替えてた。
スミクロのようなくすんだ黒無地の、ビラボンのボードショーツ。
着丈短めで、普通に街でも履けるやつ。
そしてリサイクルペットボトルを原料にしたファブリックでできてる。
今季、わたしの一押しの、メンズのボードショーツ。
今回ラングラーで海沿い行こうかなって言ったら、
お父さんが研磨くんに一枚、水着を贈ろうって言ってくれて。
今日、こっちの店舗で一緒に…というよりは、わたしが、選んだ。
その、研磨くんが選んでって言ったから……
とにかく研磨くんの抜け感とよくマッチしてかっこいいのだ。
今は暗くてあまりよく見えないけれど、絶対、かっこいい。
そんなことをむはむは思いながらワンピースを脱ぎ去れば。わたしは素っ裸で。
そしてそんなことをむはむは思っていたので、気が付いたら研磨くんの胸に触れていた。
「あ、ちょっと待って穂波。触らないで」
『え…』
「…あ、でも手だけなら… 手は繋ごう」
『ん』
手を取って、海に向かって歩き出す。
ライトを上に向かって立てておいて。
「ライトとダツは関係あるの?」
『あ、』