第10章 梅と
ー古森sideー
「あの2人ってなんか」
「んー?」
「いい感じだよね」
助手席のに座る角名がいきなり。
「なに突然。すごい当たり前のことを改めて呟いた感」
「まーそうなんだけど。 でもなんか、そうじゃない?
おれは2人をじっくり見たんは初めてだったし、研磨くんとかほぼ面識なかったしな」
「あーまー、そうだよな。 っておれも対して深い関係ってわけでもないんだけど」
「いやでも今日2人でスケボーしたじゃん」
「あ! 穂波ちゃんに動画送るの忘れないようにしよ」
「研磨くんの、まだあるん? 俺も見たい」
「おー、後でな!」
いやしかし本当にいい家だったな〜
家が、家具が、だけじゃなくてなんだろ、空気とかそういうの。流れてるやつ。
ああいうのは偽れない部分だろうから、やっぱなんか。 いいな〜 憧れるわぁ。
「もうすぐ遠距離、しかも四年とか信じられないんだけど」
「だよねー なんか、どんな感じなんだろうな、遠距離なんてまだ未経験で想像つかない」
「しかも海外て、でもどっこも気張ってなくて、なんなんだろなあの2人」
「わからん! あの2人はあの2人! にしても、角名、結構考え込んでるんだね」
「まーね… ちょっとちょっかいかけてみたけど… かわいい反応するくせに勝算ゼロ感が半端なくて」
「あはは! 言わんとしてることはわかるわぁ〜 あー帰ったらご飯セットしよ」
「それそれ。 俺も予約で炊こっと。 …米あったっけ」
一足先にゆかりと、あと穂波ちゃんのぬか漬けとキムチと大葉味噌をお土産に持たせてくれた。
いや、お土産の内容……
ばあちゃん家みたい。
聖臣が喜びそう。
そう、だから、明日の朝は炊き立てご飯に、それで決まりでしょ。
目玉焼きと納豆と、インスタントだけど味噌汁もあれば完璧すぎ。
こうやって、次に繋がってくような暖かさみたいなものを、
自然に圧力なく分け与えてくれる穂波ちゃんってほんと。
いいな、って思う。
…俺も彼女欲しい。