第10章 梅と
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『あー、楽しかったぁ』
「ん、よかった」
『研磨くん、ありがとう♡』
「ん? ううん、おれは別に何も」
『ふふ、カズくんもありがとう♡』
「ん、」
カズマは今日も明日も泊まってくから。
あした一緒に梅干し干して、明後日一緒に取り込んでくれるって。
『お風呂はいろっかな』
「ん、おれもはいる」
『え、カズくん一緒に入ってくれるの?』
「うん、入ろ」
『わーい、じゃあ……』
「いやダメでしょ、風呂はダメ」
『え』
「ちぇ」
「え、じゃないから。 ちぇ、じゃないから」
「風呂はダメだけど何ならいいの」
「スケボーとかまぁ今日、同じ部屋で寝るのとかなら… 別にいいけど」
「同じ部屋っておれと穂波が?」
「おれと穂波とカズマが」
「…研磨いるのか、まぁいいよ、ここ研磨の家だししょうがない」
「おれの家じゃなくてもダメだから」
「本気で言ってる? 本気で、そんなこと言えると思ってんの?」
最近カズマ、ますます大人びてきてて…
それに対して穂波はなんだろ、どんどん懐いていく感じある。
なんだろ、前はカズマが一緒に風呂入ろって言ってきても軽くあしらってたのに。
今は逆に、さっきみたいにわーい、とか言って入りかねなかった。
カズマはどんどん男としても成長していってて、
ほんとは穂波は警戒してかなきゃいけないのに。
小さい子が成長してく過程による魔法みたいな感じに見える。
普段が大人っぽくなって、離れてく感じがあるから、
くっつける時間とかタイミングがあると喜ぶっていうか。
まだ一緒にいてくれるの?みたいな、そんな感じ。
…いやこれほんと、普通に一線超えてもおかしくない感じあるけど。
実際おれが、どうこう言うことじゃないんだよね。
カズマの言う通り。
だからまぁ、信じるしかないよね。アメリカでのことは。
でもここでは、そう、おれの家だし。
カズマとなんて入ってないで、おれと入ればいいでしょって、なる。