第10章 梅と
ー研磨sideー
「いやマジで二人ともありがとう!
何もかもが美味かったし、居心地いいし最高だった!」
「研磨くんも穂波もありがとうな。
あ、カズくんも、遊んでくれてありがと」
玄関先で、2人が言う。
元也くんは言いそうだけど角名くんもこういうこと言うんだな。
わかりやすいようで、チョット、わかりにくい人だなって思う。
角名クン。
『梅干し、送るからね。本当、一緒に作ってくれてありがとう♡
倫ちゃんも手伝ってくれてありがとう♡』
「おぉ、そんな、こっちこそ一緒にやらせてくれてありがとうね!」
『じゃあ…… またしばらくあとかな。 …んー、車のとこまで送る』
ハグしようかな、って思ったんだろう。
それから、やっぱここじゃない、まだ少しでも先送りにしたいって感じで、
突っかけを履きながら、そう呟いた。
穂波に続くようにカズマが靴履いて、おれも、みたいな感じで、外まで見送りに。
『9月のサマーリーグでは、いろんな人に会えそう? その、聖臣くんたち以外にも』
「おー、そうだなぁ、穂波ちゃんは誰と知り合いなんだろ…
あ、VC神奈川もだから山本くんとか」
『えっ そうなの! 山本くんもなの! すごいすごい!」
「いやほんと、東部大会で試合したけど、山本くん本当すごいよね。
卒業してまだそんな経ってねーけど、すっげーレベル上がってた。
やっぱ音駒のレシーブレベル高いよなー!って思うわ〜」
「あとアランくんのチームもあがってきてるし」
『アランくん! わーなんか、すごいねぇ♡
いいねぇ、散り散りになってまた会えてって聞いてるだけでワクワクしちゃう』
「あ、光来くんとか分かる?光来くんのチームも決勝リーグ残ってる」
『え、あ、じゃあ牛島さんもだ!』
「おー、流石、結構知ってるんだね〜 って若利くんは有名人か。
若利くんていえば聖臣がさ……」
Vリーグのサマーリーグの9月に行われる決勝リーグに残ってるチームに、
知ってる人が結構いて穂波はそれを聞いてるだけで嬉しいみたいで。
あるはずのない尻尾がブンブン、ブンブンしてるような感じ。
車の前で、すこし話が盛り上がってる。