第10章 梅と
ー古森sideー
「そーいや、結局2人は何してたん?」
「あ、それそれ。スケボーしてこっちすっぽかしかけたの?」
そうだ、弁解も何もせずにこの場に流されてた。
「そうなんだよ、スケボーやってた。ごめん、遅くなって」
「いや実際そんな遅くはなってないんだよね」
「ん?」
「研磨くんに1時間くらい古森と時間潰すようにカズくんが無茶振りふってんの」
「…へー!そうなんだ! …って、え? いつ?」
「いつ?って知らんけど、まだ魚買うまえだったんじゃない? 2人が出発してわりとすぐだったよ」
「…へー」
駐車場に停めた時か。 追加で買い物頼まれて…
え、ちょっと待って、スケボーは俺が勝手に始めたし…
研磨くんは普通に一緒に時間忘れてたって思ったけど、あれ全部、計算なの?
ちょっと待って、どこからどこまでが研磨くんの想定内で、どこからが想定外?
想定外は俺と1時間過ごせって無茶振りだけで、あとはもうささっとその場で考えたシナリオ通りとかそういう…
「元也、どうした?」
「あかんあかんあかん!古森くんの顔が疑心暗鬼の顔になっていっとる!
研磨くんの渦中にはいってもーたんちゃうん!」
「どっから、どこまで?ゆーて! ほんま怖いからかなー、研磨くん!」
「ほんっとよ、研磨クンってば計算高くって俺には全然読めねーんだよなー!!」
いやほんと、それなんだけど。
あんなに一緒にスケボー楽しんだっていうか、
そりゃ個人でやったけど、なんていうか、一緒に遊んだ感は…時間稼ぎのため?
俺がオーリーちょっと上手くなったときの歓喜の感じとか…
的確な指示とか…
研磨くんもオーリーだとかそこにフリップ入れたりいよくわかんないけどいろんなトリックやってたのとか。
一回、転けたのとか………
「研磨くんもスケボーしてたん?」
「うん、っていうか研磨くんすっげー上手いの!それで… え、あれ全部計算?」
「え?」
「あそこに停めて俺を一人にしたらその間にスケボーやりだすだろう的なそんな…あれ?」
「え? あ、いや、全然。 ぜんっぜん、そんなんじゃない」
そうそう、研磨くんって。
ゴニョゴニョしてると見せかけて、しっかり喋るんだよな。
それから、取り繕うための嘘とかもつかない。