第10章 梅と
『古森くん、研磨くん、おかえり〜♡お買い物ありがとう。
お魚、お皿に移してくるから、もうみんな食べ始めてもいいからね』
穂波ちゃんが立ち上がって買い物したもの取りに来て。
それでハッとする。
机の上には寿司桶に入った酢飯、ツナマヨとか卵焼きとかきゅうりとか、
大葉とかネギとか、納豆とか、刺身以外の手巻きセットとあと漬物が並んでる。
手巻き寿司って、えっ?俺の誕生日…
っていうか… あーちょと待って予想外すぎて頭追いつかん……
「乾杯しようよ、だから持ってくるものあるなら一緒にするし」
カズくんがそう言って、角名も立ち上がって、
研磨くんはトイレ… って廊下をスタスタ行っちゃうし、
居間に俺一人残されて、壁には聖臣と侑くんと光太郎くんと治くんがいる。
ぜんっぜん、気を使う感じもなくって、普通に向こうでご飯食べてる。
なんだこれ、普通に普通〜な感じがまた、頭追いつかない。
っていうかそう、研磨くん、一体どこから……
「古森くーん! そこ突っ立ってないで座りやぁ」
「どーもこんばんはー、侑の弟の治ですー」
「あー!治くん!わかるわかる!」
向こうに揃う聖臣以外の人柄もあってか、
このオンライン飲み会?(誰もまだ飲めないけど)ってやつが
すっごい自然に執り行われてる感じにまた、持ってかれる感じ。
実際色々処理できてないけど、サプライズかー!嬉しい!
『お待たせ〜』
「ぅおー、ありがとー!うまそーー!」
「ええなぁ!トロもあんねやろ!ええなぁ!」
『そっちもネギトロ丼ええなぁ♡』
「飲み物そろってる??乾杯しよーぜー!」
「あっかん!穂波ちゃんに関西弁うつしたい!やっぱええよな、関西弁。
好きな子が喋ってるの聞くと、改めて思うわぁ」
「飲み物まだ揃ってないからちょっと待って。古森何飲む?
水、お茶、オレンジジュース、炭酸水、梅ソーダ、紫蘇ジュース、レモネード…… あってる?」
「梅ソーダ?」
やっと、聖臣が話した!
角名が言った、梅ソーダに反応。