第10章 梅と
ー古森sideー
「あれ、電気消えてる?」
「…ゲームでもしてるのかも」
「へー! あ、ほんとだ。障子から灯り漏れてる。
あんなすっごい部屋あるのに居間でするのとかなんか逆に贅沢だね」
「…ふ、なんか古森くんって時々……」
ふっつーに、会話できるようになって。
研磨くんの表情もだいぶ解けてきて、
だから、すごい普通に話しながら障子に手をかけて……
「ただいまー、 おそくなっ……」
「「「サプラーーーーーイズ!!!」」」
扉を開けると、何が何だかわかんない状況。
「えっ!? 聖臣!? えっ!?!?!?」
障子越しに漏れてた光はゲームじゃなくって、ビデオ通話の画面で。
そこには聖臣と侑くんと光太郎くん、それから侑くんの双子の弟の治くんがいる。
「さ、サプライズって?」
研磨くんの? なわけないよな、だったら聖臣がいる意味、とか
頭の中ごっちゃごちゃで動けなくなった。
ぱちって電気がついて、スクリーンに映ってる人だけじゃなくって、
部屋にいるみんなのこともよく見える。
いや逆に明るくなった分、スクリーンっていうか布に写ってるみんなは薄くなったけど…
でも全然、普通に見える。
「元也クン、誕生日もうすぐなんやろ〜?」
「そーそー!!それでケーキの時の登場だけなんて待てねーからさー!!」
「せっかくだし、なんていうの?オンライン宅飲み…じゃないけど、
オンライン食事会みたいな、あっちはあっちでこっちはこっちでなんか食いながら
だらだら喋ったりすればいいんじゃないかねーってなったってわけ。
っつーか、腹減った!とりあえず古森も研磨くんもこっち入ってきて」
誕生日? 明後日の? こんな、ここで祝われるなんて思いもしないんだけど!