第10章 梅と
ー研磨sideー
…やっば、普通に時間忘れてた。
魚以外は別にいいよって言われたらしいけど、
買い物さっと済ませて帰ったら30分くらいの遅刻かな。
「いやでも研磨くんってほんと、指示が的確だね」
「………」
「まー物理的な話になってくるんだろうから、
研磨くん言ってることはカズくんも言ってたし、カズくんもわかりやすいんだけど」
「………」
「って、結局そんな進歩ないし、俺がダメじゃんって話しなんだけどさ!」
「………」
「………」
「…スケボーって」
「うん?」
「感覚的なのと物理的な理論と、どっちもが多分大事で。
でも、その比率は人それぞれなんだろうなって思う」
「………」
「だから、元也クンに必要なくらいの情報量には、した。
おれがしたのは、そのくらいのこと……」
「へー!なるほどねー! 確かに情報量の調節とか伝え方とか大事だね〜
ちょっと俺もそれ参考にしてみよーっと!」
「………」
元也クンって、いい人だな。
おれでも、そんな面識なくても、こんな風にいられる。
アキくんや周平とかとはまたちょっと違う感じではあるんだけどでも、
なんか、穂波の周りにいる人って感じがすごいある。
ナッツ買う店で魚以外のものをさささって買って、魚屋に急ぐ。
電話したら、いいよいいよ、気をつけておいでっておばちゃんは言ってたけど。
こんな風に時間忘れるのってあんまない。
ゲームでもたまにあるけど、基本、時計はちょこちょこチェックするし。
大会とかあと株を始めてからは、一層それは習慣になってたから。
穂波といるときはたまに、あるけどでも。
この感じは、ちょっとおれ的にある意味、新しいステージっていうか。
新しい景色っていうか、そういう感じを感じた。