第10章 梅と
ー古森sideー
「…あ、時間」
「あ!すっかり忘れてた!!!やっべ、魚屋大丈夫!?!?」
商店街って早く閉まらないっけ。
「…ぎりぎりかな」
「研磨くんとこ連絡は?来てる?え、絶対……」
鬼着信きてる場合だよね、これ。
「ううん、何も」
「え!そんなことあんの!?」
「カズマと穂波だし… でも一回も着信ないのは確かに変だな。元也クンなんか送ったりした?」
「えっ」
この流れで、俺がなんか送ってるかもって予測するの?
すげー わかってはいたけど、ほんと頭切れるんだな〜
「…?」
「あ、俺送った。穂波ちゃんに。研磨くんがバリアルキックフリップきめてるやつ」
「…既読ついてる?」
「うん、ついてるけど返事な……」
あ、きた。
【古森くん、動画ありがとう♡♡♡ お腹空いたら帰ってきてね♡】
え、マジで。
「…仏」
「ふ… なんて?」
「すっごいご機嫌っぽく、お腹空いたら帰っておいでって」
「ん、そろそろ行こっか」
「あ、うん!」
「あ、返事打っとく? おれから送ってもいいし、どっちでも」
「あ、俺送っとく」
………。
…あまりに仏な返事がきて、どう始めるか迷う。
これに対してごめん、全開でいくのも変な感じだ。
【もーしもし、もし!!他にも動画撮ってたら、お手隙のときにください!!!】
打つ言葉に迷ってたら、今度は勢いのいい切実な感じのメールが。
…笑 かわいいな。
【うん、後で送るよ。今から店寄って帰ります。遅くなってごめん】
魚屋行くだけの予定が、まぁちょっと他に買い物頼まれたとはいえ、
1時間も帰ってこなくって、鬼電もなし、追求もなしって、何それ!
挙句彼氏の動画くださいだって。
どんだけだよ。
どんだけかわいいんだよっ
【気をつけて帰ってきてね。お魚以外はまぁ、別に大丈夫だよ。ありがとう♡】
返信を確認して、ささ、出発しないと。