第10章 梅と
ー穂波sideー
「穂波、研磨から連絡きた?」
『あ、どうだろ。見てみる』
もうすぐ侑くんたちが、治くんのいる侑くんの実家に到着する時間。
予定では研磨くんと古森くんもそろそろ帰路についてるはず。
支度も片付けも大体終わったから、携帯を見てみると……
『ううん、連絡きてないヨ』
「めずらしいね、何してんだろ」
『あ、でも古森くんからはきてる』
「なんて?」
古森くんから動画が送られてきてる。
もう、40分くらい前だけど。
何の動画だろ。
『……うぅっ……』
「なに?」
『研磨くんがスケボーしてる……色っぽい……尊い……すき……』
「…見せて」
研磨くんがそれは、それはそれは綺麗にバリアルキックフリップをしてる。
しかも、エアキャッチしてる。
なにこれ、いつどこで練習……
って研磨くんはそうだ… できると思わないと、スケボーのトリックには挑戦しない。
よーくみて、頭で分析して、イメージして、
できると踏んだら、ちょっとやってみるって言ってそれから、意味わからない精度で完成させる。
できなそうなのはやらない。
だって、失敗すると痛そうだし…
みたいな感じだ。
「…へぇ、高さあるし、キャッチもばっちしだね」
『うん、うん!!♡』
「なに見てんの? 侑ら治んとこ着いたって」
『あ、ほんと! あ、あのね、研磨くんのスケボー動画が古森くんから送られてきたの』
「へー、見して」
もう一度、次は倫ちゃんも一緒に3人で。
「なにこれ研磨くんこんな感じなん?普通にスケーターじゃん」
「…ふつーに上手いんだよね研磨。これもなにも教えてないし」
「まじに? 見ただけで何やってるかわかるってこと? あーでもまぁ、確かにちょっと想像はつくな。
これ、キャッチするの空中でやってるのとかむずそ」
『そう!そうなの!エアキャッチを普通にしちゃうの研磨くん!ありえない!!』
「びったびたにきまってるなぁ、カズくん?」
倫ちゃんが、ニヤニヤしながらカズくんのあまり好きじゃない喋り方をする。
…仲良いな。