第10章 梅と
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梅干しを梅酢に戻して片付けて。
そろそろ、お魚を取りに行かなきゃいけない時間。
「あ、穂波。そろそろ時間?」
『あ、うん、そうなの』
「じゃー、古森、一緒に行くか」
「え?どこに?」
「魚屋?」
「いいけど、どこの?」
「知らん」
「………」
「………」
「元也クン、おれ道案内するから連れてってくれない」
「え、あ、うん!もちろん」
「角名クンは家にいたらいいよ」
「あー、じゃあそうすんね」
古森くんにお魚屋さんに行ってもらってる間に、
ケーキを仕上げておく、ただそれだけを予定してたから、
倫ちゃんとわたしは行き当たりばったりで、どうしよーみたいな沈黙になっちゃったけど。
研磨くんの助け舟で、なんだかすんなりことがすすんだ。
研磨くんと古森くんが家を出て、じゃあ……
『「あ」』
倫ちゃんと声がかぶる。
「何、二人して」
「いや、この間にちょっといろいろセッティングしとくんありじゃない?」
『ね、思ったの』
「 でも俺、そういうのやってきたタイプじゃないんだって。何したらいいのかわからん」
『侑くんたち、どのくらいからいけるかな』
「あー、どうだろ。なんで?」
『古森くん帰ってきて、ここの扉開けたらじゃーん!って。 するの』
「じゃーんって、どこに?」
『ここの壁に白い大きい布かけて、プロジェクターで。 サプラーイズ!って』
「へぇ、そんなんできるん?」
『できる』
小型のプロジェクターがあるからそれを寝室から持ってきてってのは、
研磨くんが言ってくれてそうしよう、って思ってた。
ケーキだけをサプライズのお祝いにって思ったけど、
もし侑くんたちが大丈夫そうならやってみたい!
「あ、もしもし? 侑、今日さ……」
倫ちゃん、連絡はマメなの知ってる。
仕事がはやい!